ぱるばか日誌 2017
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独逸麺麭店
インド最後の朝はデリーだった。
取引先に電話をかけて、小さな用事を片付ける。もう二十年もつきあっている染織デザイナーだ。
「ところで」と彼女は言う、「プーナで昨夜爆弾テロがあったのよ。ジャーマンベーカリーが爆破されたの。ニョンは大丈夫かしら…」
「ジャーマンベーカリー!?」、オレは耳を疑った。
だいたい、デリー在住の彼女からそんな名前が出てくること自体、奇異なことだ。
あまりにローカルな名前だからだ。

ジャーマンベーカリー、それはプーナOshoコミューンのすぐ近所にある小さなカフェだ。
交通繁多なT字路に位置し、ホコリと排気ガスにまみれ、なんか薄汚れていて、メニューが豊富で、いつも賑やかな店だった。
オレ的に言うと、あまりコミューンに行かないサニヤシン(Osho弟子)がタムロしている雰囲気で、格別好きなスポットではなかった。
ただ、とにかく便利なロケーションにあったため、利用することも多かった。
つい十日ほど前も、そこでお茶をしたものだ。
簡素なテーブルやベンチの据わりが悪くて、あまり快適とは言い難かった。
店の前や中を行き来したことは限りない。
日本人の間ではジャーベーで通っていた。
そんな店が吹っ飛ばされた。

テレビをつけると、ニュースチャンネルはノンストップでその報道に携わっている。
新聞の一面トップにはGerman Bakeryの大きな活字が踊っている。
一昨年のムンバイテロ以来の被害だという。
あのときは名門タージマハールホテルだったが、今度は薄汚れたジャーマンベーカリーか。
そんな戦略的重要スポットとは知らなかった。

爆発時刻は午後7時前後ということだ。
午後7時というと、サニヤシンにとっては一種「聖なる時間」だ。
というのも、かつてOshoが説法を始める時間だったからだ。
その連なりで、今でも毎日午後7時から、コミューンの日課で一番大事な「ホワイトローブ瞑想」が行われる。
そんな時間にあの猥雑なジャーベーに居たいというサニヤシンはあまり多くないだろう。
それゆえ、今回は外国人の死傷者数も、そして国際的なインパクトも、それほどではないようだ。
テロリストがなぜその時間を選んだのか、あるいは、何かしくじりがあったのかは、今のところ不明だ。
取引先が心配していた「ニョン」というは、私の義妹であり、今朝、プーナからデリーに飛行機でやってくることになっていた。
幸い無事だった。
昨夜はホワイトローブ瞑想に参加して、おそらく踊っている時間だったのだろう、爆発音には気づかなかったという。

ともあれ、馬鹿なやつらだ。
ファイブスターホテルならまだしも、サニヤシンを吹っ飛ばしたところで、何のトクにもなるまいに。
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