ぱるばか日誌 2017
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ダマシオ『無意識の脳・自己意識の脳』
 アメリカの脳神経学者、アントニオ・ダマシオの本。
 意識や自己の起源を脳科学から探る。

 ただし、この主題には特有の難点がある。
 意識にしろ自己にしろ、主観的なものだから、客観的に提示できないのだ。
 だから、厳密な定義ができない。
 「ホラ、あなたにもあるでしょ、意識や自己が」と言うほかない。

 ダマシオの主張によると、意識や自己の基盤は身体にある。
 もっと言えば、生体の維持のため意識や自己は生まれた、ということだ。

 意識や自己にも三段階ある。
 1.原自己
 2.中核自己と中核意識
 3.自伝的自己と延長意識

 1の原自己は、自分の身体内部の状況把握だ。把握とは文字通り一点に集めることだが、その中心となるが、すなわち原自己ということだろう。ただしこの段階では意識はない。これは脳の最も原初的な部分である脳幹で処理される。
 2の中核自己は、原自己に対象物が関わることにより生ずる。対象物の感知により原自己が変化し、その変化や関係性を更に認識することによって、中核自己が起こる。それとともに意識が生じ、それを中核意識という。この意識は原初的な意識で、その範囲は「今ここ」である。脳の部位で言うと、脳幹よりも上部の視床など中脳部分。
 3の自伝的自己と延長意識は、2の中核自己の経験が蓄積され、それに基づき、時間的・空間的範囲が拡張される。脳で言うと最も後にできた大脳皮質の部分が関与する。
 1は2の基礎であり、2は3の基礎だ。事故などで3が無くなっても1と2は残るが、1が無くなったら2も3も無くなる。

 ダマシオはスピ系のことはいっさい語らないが、瞑想の観点からすると、幾つか興味ある部分がある。
 3の延長意識というのは、すなわち「はからい」「マインド」だ。いつも取り越し苦労をしている。生体自身に何の問題もなくてもだ。飯を食いながら、次の飯の心配をし、金勘定をしている。これではせっかくの御馳走も台無しだ。
 衣食住が満たされていれば、中核意識は基本的に満足だ。ところが、延長意識はいつでも「それで良いのか、先のことを考えろ」と急き立てる。
 そういう意味で、瞑想とは、延長意識の暴走をストップさせる営為、ということになるだろう。それがイエスの言う、「神の御国は赤子のような者にのみ開かれる」とか「思い煩うな、野の鳥を見よ」の意味だ。赤子や野の鳥は我々に比べると延長意識がずっと未発達である。
 中核意識から更に脳幹レベルまで遡ると、そのうち自己も消え去ることになる。無我というのは脳幹ライフか。

 それから、これは前著『デカルトの誤謬』で詳述されたらしいが、中核意識に密接に結びついている背景的情動というものがある。これは英語ではバックグラウンド・エモーションという。
 通常の目立つ情動、例えば、怒り、悲しみ、喜びなどは、ときおり我々に訪れるだけだ。一方、背景的情動は、通奏低音のように、いつも底流に流れ、通常は必ずしも意識されない。たとえば、高ぶり、だるさ、緊張、リラックス、好調、不調といった類のもの。これも生体の状況を反映している。
 瞑想はこの背景的情動を改善するものと言えよう。いつも何となく幸福感がある。これは前述の延長意識ストップとも関連するだろうが、他の要素も関わっているだろう。

 ダマシオの所論、すなわち、意識や自己は生体維持のために誕生したということ、それが真であれば、意識や自己は身体の副産物ということだ。となれば、身体が無くなると、意識や自己も無くなるということになる。死後の生も、輪廻転生も無い。なあに、別に怖がることはない。我々の意識や自己は夜ごと消失するのであるが、その消失の瞬間はじつに甘美なものではないか。(でも二度と目覚めないとなると何となく淋しいものではあるが)。(とは言え、眠りと死が同じものとは限らないが)
 ともあれ、意識や自己は生体維持のために生まれたというのは、かなり説得力がある。というのも、いちばん強烈な意識や自己を持つ生物種は人間であり、そのおかげで人類は現在、地球の支配者になっているわけだから。

 本書は意識や自己の起源についての著者の仮説だ。
 興味深い仮説ではあるが、それによって意識や自己のすべてが説明されるわけではない。まだまだ未知の領域が残っている。
 そして、それらが生体の副産物であるとしても、それはある意味で問題の先送りだ。なぜなら、その生とは何かが説明されていないからだ。
ダマシオの本を読んでいるものです。
原自己の説明が分かりやすかったので、引用させて頂きました
ご迷惑なら,削除します。



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マサ | 2015/03/14 18:29
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