ぱるばか日誌 2017
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『心を操る寄生生物』 ― 腸か脳か
 著者はサイエンスライターのキャサリン・マコーリフ。タイトル通り、動物に寄生する微生物が心を操っているという話。
 昨年9月にご紹介した本『あなたの体は9割が細菌』と通じる内容だ。
 我々の腸内に存在する微生物が、人間の欲求や感情や認知、すなわち「心」に影響を与えているという話。

 一般的に、我々の「心」は脳に存在すると考えられている。
 では、それに影響を与える腸とはどういう存在なのか。

 本書には以下のような記述がある。曰く、
 細菌が動物に住みきつ始めたのは8億年ほど前で、当時はあまり脳は発達していなかった。腸内に細菌を最初に取り込んだ生物のひとつはミミズと考えられおり、その体は基本的に一本の長い消化管で、その周囲は消化を調整する神経繊維(いはゆる「第二の脳」)で支えられている。頭部にある脳は小さな細胞塊ふたつであり、腸からの命令に従うのみだ。その命令とは「食べろ!」という命令であり、脳はそのために体を調整する。それゆえ、脳とは腸の神経網の出先機関として進化したものかもしれない。つまり「第二の脳」のほうが上位、すなわち「第一」であったということ。

 以降はオレの考察 ―
 その「第一」であるべき腸神経系は、脳の神経系よりも、当然のことながら腸内細菌と密接に関係している。腸内細菌にとって腸は我が家なわけだから、住み心地が良いように手入れを怠らないことだろう。8億年も共生してきたのだ。だいたいにおいて腸と細菌の利益は一致するはずだ。すなわち腸のメリットは細菌のメリットであり、その際、細菌はドーパミンやセロトニンを分泌して腸神経系の報酬系に働きかける。
 ドーパミンが分泌されると「気持ちイイ」と感じるのだが、いったい誰が感じるのか。すなわちそれを感じる「心」はどこにあるのか。
 普通は脳だということになるだろう。
 しかしながら、ミミズはほとんどが消化管、すなわち腸であり、その周囲に神経繊維があって、その出先機関である脳は小さな細胞塊だ。だとしたら、距離的・規模的に言って、細菌由来のドーパミンで気持ち良く感じるのは、腸の神経系であろう。
 人間は脳が巨大化して、腸は「第二の脳」とされるが、そもそもの基本はミミズと同じではないのか。数的に言うと体の九割を占める細菌は依然として腸内に存在し、ドーパミンやセロトニンは腸内で細菌が作っているとすれば、やっぱり我々の「心」は腸にあるのだ。
 拙ブログを振り返ってみると、4年ほど前、藤田紘一郎『腸内革命』を読んだ際にも、同じような感想を述べている

 腸すなわち消化管というのは、食って出すだけのこと。
 一休道歌に「世の中は食うて糞して 寝て起きてさてその後は死ぬるばかりよ」というのがあるが、無心とはすなわち、複雑怪奇な脳を去って、本来の心である腸のレベルに戻るってことじゃあるまいか。

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