ぱるばか日誌 2017
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画僧の系譜 ― 不染鉄展
 めっちゃ好きかも。
 聞いたこともない名前の画家だが、現在、東京ステーションギャラリーで大規模な回顧展が開かれている。
 不染(ふせん)が苗字で、鉄が名前みたい。

 なぜ好きかというと、観る者を瞑想の境地に誘ってくれるからだ。
 「絵画修行とは心を磨くこと」とは不染の言葉。
 浄土宗の寺に生まれ育ち、自ら法名も持っていたそうだ。
 不染にとっては画業も仏道修行の一部であったのだろう。

 そういう人の絵は好きだ。
 いはゆる、画僧の部類に属する人々。
 たとえば、南宋の牧谿や玉澗、本朝の雪舟や雪村、ルネサンスイタリアのフラ・アンジェリコ…
 彼らの絵も見る者を瞑想に誘う。

 ただ、禅僧であった東洋の画僧の絵と、キリスト教徒の画僧の絵とでは、誘導される瞑想の質も違う。
 禅僧の絵はハラに深く引き入れるが、キリスト者の絵はハートに強く働きかける。
 これはベースとなっている禅(仏教)とキリスト教のアプローチの違いでもあろう。
 これは音楽にしても同じで、直後に「ゴウ芽里沙ショパンピアノリサイタル」を聴いたのだが、演奏されるショパンの曲はすべて心地よくハートに触れるものであった。

 仏教系である不染の絵は、中国の山水画を研究していることもあって、やはり深くハラに下っていく。
 彼の山水画、たとえば「萬山飛雪」を観ていると、これはまさに瞑想誘導装置だなと思う。
 縦長の画面いっぱいに岩山が描かれ、その上の方から滝が何段にも分かれて流れ下って、前景の水辺に至る。これはまさに人間のエネルギーが頭からハラへと滔々と流れ下る姿ではないか。観る者のエネルギーも自動的に自らのハラに下り、法悦へと至る。これが山水画の魅力であったか!

 ただ、不染の生まれ育った浄土宗は念仏系であり、日本仏教の中ではいちばんハートの要素の強いものであろう。
 それゆえか、彼の絵にも、アンジェリコに通じるようなほんわかした柔らかさがある。晩秋の田園風景にぽつぽつと赤く描き込まれた柿の実がひたぶるにかわいらしい。

 いいものを見せていただいた。本展を企画したギャラリーの館長や学芸員に感謝。
 (翻って、己が業がはたして修行となっているのか、いささか心許なく感じるのであった)
『心を操る寄生生物』 ― 腸か脳か
 著者はサイエンスライターのキャサリン・マコーリフ。タイトル通り、動物に寄生する微生物が心を操っているという話。
 昨年9月にご紹介した本『あなたの体は9割が細菌』と通じる内容だ。
 我々の腸内に存在する微生物が、人間の欲求や感情や認知、すなわち「心」に影響を与えているという話。

 一般的に、我々の「心」は脳に存在すると考えられている。
 では、それに影響を与える腸とはどういう存在なのか。

 本書には以下のような記述がある。曰く、
 細菌が動物に住みきつ始めたのは8億年ほど前で、当時はあまり脳は発達していなかった。腸内に細菌を最初に取り込んだ生物のひとつはミミズと考えられおり、その体は基本的に一本の長い消化管で、その周囲は消化を調整する神経繊維(いはゆる「第二の脳」)で支えられている。頭部にある脳は小さな細胞塊ふたつであり、腸からの命令に従うのみだ。その命令とは「食べろ!」という命令であり、脳はそのために体を調整する。それゆえ、脳とは腸の神経網の出先機関として進化したものかもしれない。つまり「第二の脳」のほうが上位、すなわち「第一」であったということ。

 以降はオレの考察 ―
 その「第一」であるべき腸神経系は、脳の神経系よりも、当然のことながら腸内細菌と密接に関係している。腸内細菌にとって腸は我が家なわけだから、住み心地が良いように手入れを怠らないことだろう。8億年も共生してきたのだ。だいたいにおいて腸と細菌の利益は一致するはずだ。すなわち腸のメリットは細菌のメリットであり、その際、細菌はドーパミンやセロトニンを分泌して腸神経系の報酬系に働きかける。
 ドーパミンが分泌されると「気持ちイイ」と感じるのだが、いったい誰が感じるのか。すなわちそれを感じる「心」はどこにあるのか。
 普通は脳だということになるだろう。
 しかしながら、ミミズはほとんどが消化管、すなわち腸であり、その周囲に神経繊維があって、その出先機関である脳は小さな細胞塊だ。だとしたら、距離的・規模的に言って、細菌由来のドーパミンで気持ち良く感じるのは、腸の神経系であろう。
 人間は脳が巨大化して、腸は「第二の脳」とされるが、そもそもの基本はミミズと同じではないのか。数的に言うと体の九割を占める細菌は依然として腸内に存在し、ドーパミンやセロトニンは腸内で細菌が作っているとすれば、やっぱり我々の「心」は腸にあるのだ。
 拙ブログを振り返ってみると、4年ほど前、藤田紘一郎『腸内革命』を読んだ際にも、同じような感想を述べている

 腸すなわち消化管というのは、食って出すだけのこと。
 一休道歌に「世の中は食うて糞して 寝て起きてさてその後は死ぬるばかりよ」というのがあるが、無心とはすなわち、複雑怪奇な脳を去って、本来の心である腸のレベルに戻るってことじゃあるまいか。

ぬかみそチーズ
 オレの唯一できる料理。
 ぬかみそづけ。
 これは料理ではないという意見もあるだろうが、まあ、料理だろう。
 毎日食っても飽きないという意味で、最強の料理のひとつだろう。

 昨年あたりか、この料理をいっそう美味にする手法を思いついた。
 上にチーズを載っけて食うのだ。
 これは超絶的にウマい!!
 酒のつまみに最高。

 と言いつつ、しばらく忘れてたんだけどな。
 インドにちょっと滞在して、帰ってきたりすると、忘れてしまう。
 先日思い出したので、忘れないように記しているというわけ。

 ま、オレのぬかみそづけだからウマいのかもな。
 素材が自家製野菜だろ、その採りたてを漬けるわけだから、ウマくて当然か。
 ともあれ、その上にチーズを載っけると絶品になるのである。
 大根とかカブとか、特に合う感じ。
末廣亭・怒濤のインド航路
 つれづれに末廣亭のHPをチェックしたところ、六月下席・夜のトリが小三治ではないか。
 小三治と言えば、毎秋、立川市民会館で独演会があるのだが、昨秋はチケットは取ったもののインド出張で行けず仕舞。

 これを逃す手はあるまい。しかも昼のトリは喬太郎。それ以外にも一之輔、さん喬、正蔵、歌之介、権太楼など多士済々。
 小三治が演るのは午後9時あたりだが、だいたい立ち見が出る。ゆっくり観るには早く行くに越したことはないのだが、さて何時に行くか。

 これだけ面子が揃うのだから、これはヤルほかあるまい。昼の開演(12時)からぶっ通しの9時間コースだ。
 前も一度やったことがある。あの昭和レトロの狭い空間で九時間…
 なぁにこの時期インドに飛ぶのと同じくらいの時間だ。狭さだってインド航空の機内とさして変わるまい。(飲食のサービスはないが)
 小三治は休演日もあるし、土日も避けて、昨金曜日に出かける。

 ところが…
 12時ちょい過ぎに末廣亭に入ると、あろうことか、一階椅子席はもちろん、左右の平土間も満席、二階席に通されることに。
 末廣亭にはずいぶん通っているが、二階席は初めて。一階の平土間すら座ったことがないのに。それも金曜の昼間だぜ。出演者も驚いてたよ、まっとうな人は働いている時間なのに…と。
 というわけで、オレと同じこと考えてる人は、(小三治出演日には)、11時半頃には出向いた方がいいかもな。その価値はあると思う。つまらん芸人も出るけどな、ま、それは辛抱。
 枯れた小三治も良かったが、脂の乗りきった喬太郎とか、キレの良い一之輔、相変わらずの歌之介や権太楼とか。また行きたくなる。病み上がりなんだけど。
『生物はウイルスが進化させた』
 竹村政春著。

 要点は、真核生物の細胞核はウイルスの影響で誕生したという仮説。

 ウイルスは細胞に侵入すると、ウイルス工場を立ち上げ、そこでウイルス粒子を産生する。そのウイルス工場と細胞核は性格が似ている。もともと細胞には核は存在していなかったが、ウイルス工場の「流用」により細胞核が誕生した。細胞核の誕生により細胞の機能が向上した。
 RNAからDNAが誕生したのも、ウイルスとの相克ゆえだ。

 また、ウイルスとは、一般的に考えられているのはウイルス粒子だ。
 しかし、ウイルス粒子とはウイルスの種子みたいなもので、ウイルスの本体は「ヴァイロセル」だ。ヴァイロセルとは、ウイルス「感染」により、ウイルス粒子を大量に生産する状態になった細胞。

 ウイルスにとって、細胞性の生物(すなわち我々)は、ヴァイロセルのための土台である。そしてその土台は、ウイルスによるゲノム水平移動によって進化「させられて」きたとも言える。

 最新のウイルス研究により、生命観に変換がもたらされようとしている。
一昨日のインド・アライバル・ビザ
 毎回お楽しみのインドビザ。
 今回はアライバルビザについて。

 今、日本人だけなのかなぁ、デリー空港などでアライバルビザが取れる。
 すなわち、前もって日本でビザを取らなくても、到着空港で取れるのだ。
 と言われても、キミなんか心配だろう。ホントに取れんのかなぁ…
 大丈夫。取れるのだ。弊社は昨夏から何人もインドに連れてってるが、アライバルビザで問題のあったことは一度もない。
 今回は弊社スタッフの女子をひとり連れて行った。(オレ自身は一年有効のビジネスビザ所持)

 もちろん、今回も問題なかった。
 ただ、ひとつ微妙な違いがあったなぁ…
 ビザ上にこう記されているのだ ―
   Visa Exparity Date : 28 JUL 2017
   NO OF ENTRIES : TWO
 つまり、ビザの有効期間は60日。その間に二度入国できるということ。

 以前の有効期間は一ヶ月だったような記憶がある。そして入国は一度だけだったはず。
 というわけで、多少、緩和されているようだ。

 料金は30ドルだったかな。日本円でもOKだと言っていた。
 夜中の二時過ぎだったこともあり、ウチのスタッフひとりしか申請者がおらず、申請用紙の記入も含め十五分ほどで取得できた。
 こちらを参考に、前もって書いていくと楽。
 ホントは中国なみにビザ無しにしてくれると良いんだが。
docomo iPhoneのSIMロック解除
 オレのiPhone7は昨年12月に買ったものだ。
 SIMロックを解除したかったのだが、たしか180日後ということで、今年6月以降だろう。
 オレは5月25日に中国&インドへ向けて旅立つので、残念ながら今回はダメだな…
 と、思っていたところ、出立当日の5月25日、早朝にiPadで日経産業新聞を読んでいたら、ナント、昨日の5月24日から「100日後」に短縮された、と言うではないか。
 だったらオレのiPhone7もSIMロック解除できるじゃん!! (そんならそうと早く言ってくれよ)

 中国行きの飛行機は午後1時50分羽田発だから、今からdocomoショップ羽田店に駆け込めば解除できるかも!?
 と、飛び起きて、荷物をまとめ、電車に乗って羽田に向かう。
 道中、docomoのサイトをチェックしていると、何だか、ネット上でもできそうだ。
 いろいろイジっているうち、結局、電車の中で解除申請できてしまった。(しかも無料)
 で、羽田のドコモショップには行かなかった。

 中国では「海外1dayパケ」というのが便利で、docomoのSIMは挿しっぱなし。

 昨日インドに到着して、現地のSIMに挿し換える。(IDEAというキャリア)
 Wifi経由でアクティベートする必要はあるが、それも簡単に済み、あっさり開通。
 晴れて、SIMフリー版のiPhone7になったのであった。

 一括払いで購入の場合、100日待つ必要もなく、即解除できるらしい。
 詳しくはこちら
ヒマラヤのカッコウ
 すっかり夏のヒマラヤ山麓。
 今日は今年最高の33.6℃まで気温が上がっている。(14:53現在)

 朝、ジャングルから鳥の大きな鳴き声が聞こえてくる。
 声量からみて、カッコウの仲間だろう。
 おなじみIndian Cuckoo(セグロカッコウ)とは違う。
 3声で、音程で言うと、ミッミドという感じ。
 昔のテレビワイドショー主題歌にあった、「デュッデュワ パッパヤ」を想起させ、おかげでここ数日、「デュッデュワ パッパヤ」が頭の中を駆け巡っている。
 (セグロカッコウは『森の熊さん』)

 あまり派手に鳴くから、YouTubeで調べてみた。
 すると、英名、Large Hawk-cuckooというものらしい。
 日本語ではオオジュウイチ。あまり馴染みのない鳥ゆえ、和名もぱっとしない。
 ジュウイチと言えば、わが養沢の森にも来るし、その名の通り「ジューイチ」と鳴くんだが、この鳥はデュッデュワだからな。ぜんぜんオオジュウイチではない。
 そういえば先日、Himalayan Cuckooを耳にしたような…。ツツドリだ。
究極のイクメン
 今日の朝日新聞科学欄にカマキリの話が出ていた。
 交尾時にオスはメスに食われてしまうという話。
 記事いはく、とある研究によると、オスを食ったメスの卵や卵巣には、オス由来のアミノ酸が38.8%含まれていたそうだ。オスを食わなかった場合は21.1%。またオスを食ったメスの最初の産卵数は平均88.4個、食わなかった場合は同37.5個。というわけで、オスを食った方が子孫を残しやすい。

 同記事でも明かだが、ひとつポイントは、オスは必ず食われるわけではない。丸山宗利著『昆虫はすごい』によると、「うまく雌と交尾して、さらに別の雌と交尾する要領のいい雄も少なくない。逆に、雌に近づく方法に失敗し、交尾を成し遂げる前に雌に食べられてしまう」場合もあるという。なんか人間に似たところがあるかもな。

 ただ、人間の場合、さすがに男が文字通り女に食われることはない。そんなの痛くてたまらん。
 カマキリの場合、同書によると「雄は上半身を食べられながらも、下半身だけはしっかり生きており、きちんと交尾を全うする」んだそうだ。

 これはドーパミンが関与しているに違いない。食われながらも交尾の快感に身を委ねているわけだ。リンデン著『快感回路』によると、セックスはドーパミン回路を活性化する。
 察するところ、雄カマキリのドーパミン回路は、たとえ自分が頭から雌に食われたところで、ビクともしないのだろう。
 ということは、ドーパミン回路は頭とは関係なく、下半身、すなわち腸ないし腹に中心を置いているということになる。
 人間の場合はそういう進化は遂げなかった。育児期間が長いからな。性交時に雌の栄養になってしまったら、その後の長い育児期間、雌を助けることができない。
広州白雲空港
上海に用事ができたので、デリーから飛ぶことになった。
利用キャリアは中国南方航空(CZ)。広州ベースの中国最大の航空会社。
CZは初めてだ。昼間に飛ぶのでラク。それに激安。上海まで片道で2万円弱。
広州乗換で、機材は小型のB737。新しくてキレイだ。やっぱインドの航空会社とは違うかも。
 
食在広州っていうから、昼飯をちょっと期待してたわけだ。というのも一ヶ月以上、一日三食インド飯だったんで。
中国人形みたいなCAが「チキン or ベジ?」と聞く。下手に答えるとインド飯が出てくるから、「チャイニーズ・プリーズ」と答える。中国系キャリアに乗る時はいつもそう言う。すると、じゃ、チキンね、という感じで手渡されたんだが…。なんだ、インド飯じゃん! チキン入りのホウレン草カレーであった。ま、ウマかったけどな。インバウンドだから中国飯は積み込んでなかったのかもしれない。エコノミには。

広州の白雲空港も初めて。
この空港でイミグレを済ませ、国内線に乗り換えるわけだ。
イミグレ、セキュリティを通過し、長い連絡路を乗り合い電気自動車で移動し、国内線ターミナルに入る。
所要時間は前便到着から45分くらい。乗り換えに慣れていれば特に問題あるまい。要所要所に「乗換」のタスキをかけたCZの係員が立っていて案内してくれる。

空港ターミナルにはそこここに中華飯屋が店開きしていて、ひたぶるにそそられるのだが、二時間の乗り継ぎ時間では食ってるヒマもない。次便も2時間半の所要だから、夕飯もどきも出ることだろうし。ま、期待はできないが。(後日談:ピーナツとクロワッサンだけだった)
国内線待合は現地の人々でいっぱい。一挙に中国世界に突入だ。
広州上海便も小型のA320。これもやはり新しくてキレイな感じ。パソコンを打っていたらCAに閉じてくださいみたいなことを中国語で言われる。オレも現地人に見えるんだろうか。これからガンディー帽をかぶって旅しよう。

というわけで、CZ、なかなか良いかも。時間も正確。やはり中国最王手だけのことはあるかな。白雲空港の駐機場や整備場には巨大機A380の姿も。(見るの二度目)
唯一難点は、マイレージがスカイチームなこと。これは日本人にはほとんど役立たない。(MUもスカイチームだが、JALと提携している)